生後1か月ごろになると、母音を中心とした「あー」「うー」などクーイングと呼ばれる声を発するようになります。
このクーイングに反応をすると、赤ちゃんが笑顔になったりする反応をしてくれます。
このクーイングに反応することが、子どもに対して様々な影響を与えることは、多くの研究で明らかになっています。
今回は、このクーイング反応が赤ちゃんに与える影響について、まとめさせていただきます。
目次
グーイングとは?

生後1か月ごろになると、母音を中心とした「あー」「うー」などクーイングと呼ばれる声を発するようになります。
クーイング=「cooing」で、ハトの鳴き声に似ているのが由来です。
口や唇を使わずに発せられ、言葉の発達に欠かせないもので、声帯やのどの筋肉が発達に関係してきます。
面白いことに、赤ちゃんの意志とは関係なく勝手に声が出てしまうようで、自分が発した音にびっくりして泣いてしまうこともあります。
赤ちゃんが喉から発せられていることに気付いて、繰り返しクーイングをしたりして、音を楽しんでいます。
そこから、自分の感情に使えることが分かり、外とのコミュニケーションを取ろうとし、会話の基礎を育んでいきます。
なので、このクーイングに対して、「オウム返し・優しく話しかける」など反応してあげることが良いことだと分かっています。
クーイングに対して、0.5〜1秒とすぐに返してあげないと、反応があったとは思ってもらえないので、すぐに返事をしてあげましょう。
クーイングへのオウム返しは
- 言語能力・聴覚能力の発達
- 情緒の発達
に良い影響を与えていることが分かっています。
赤ちゃんに話し掛けるとき、自然と出る高い声をマザリーズといい、赤ちゃんが聞き取りやすい声だといわれていますので、高い声で反応してあげましょう。
マザリーズについては別でまとめてありますので、ご参照いただければ幸いです。
クーイングへ反応する効果①言語能力・聴覚能力の発達

赤ちゃんは、大人の声と口の動きを真似することで、少しずつ発声できるようになります。
自分の発声している音と大人の口の動きを比べており、言語を発声するための訓練になります。
クーイングが発展することで、「マンマ」「パッパ」などの喃語(なんご)へとつながっていきます。
生後3カ月頃にはこの「喃語」を使うようになり、1歳頃に言葉を使えるようになります。
クーイングと喃語の違いは、音が複数あること・各音節が子音+母音であることです。
大人を模倣して練習を繰り返すことにより、 発声を可能にしていくことは研究でも証明されています。【正高信男. (2001). 子どもはことばをからだで覚える:メロディから意味の世界へ. 東京:中公新書.】
クーイングへのオウム返しにより、おしゃべりの開始が早いことがわかっています。
また、発声される声を聞くたびに人の声に注意が向くようになり、聴覚の発達にも役に立っています。
赤ちゃんが言葉を発するためには、聴覚の機能が整っている必要があり、周囲の大人の声などを聴くことで発達していきます。
発声器官の発達について
3ヶ月になると喃語をはすることができるようになるのは、脳的機能の発達以外にも、発声器官が発達することも起因しています。
大人の発声器官は息を吐き出すときだけ発声できるように作られています。
しかし、赤ちゃんの生命に関わる利点があり、赤ちゃんの喉は、鼻・口のしきりである口蓋が大人よりずっと上にあります。
赤ちゃんは、息を吸いながら食事ができるようになっており、さらに呼吸は鼻のみで行え、鼻から気管に直接空気を流せます。
逆に、喉は一切呼吸に用いていないので、声を出そうとすると空気が鼻から抜けてしまうため、うまく声が出ません。
それが3ヶ月になると、喉が変化して大人の形に近づき、喉の構造が言葉を話せるようになります。
クーイングへ反応する効果②情緒の発達

赤ちゃんは、周囲を観察して、大人の真似をすることが大好きで、どんどん成長していきます。
クーイングに対して周りにいる人たちが反応を繰り返していると、赤ちゃんは声をだして笑うことがあると思います。
大人が見ていてくれる、反応してくれるということは赤ちゃんでも理解することができますので、親子の信頼感・安着感の形成に繋がります。
クーイングは意思表示ではなく発せられますが、大人が反応することで、声を出すことで意思表示をすることを学びます。
子どもは生後10カ月くらいから大人の発話の意味をある程度理解するようになります。【秦野悦子.(2001). ことばの発達入門. 東京:大修館書店.】
こうした体験の積み重ねが、相手とコミュニケーションを交わしたいという気持ちから、赤ちゃんの喃語を促し、コミュニケーション能力の基礎の発達にも良い影響を及ぼします。
まとめ
クーイングへの反応5が赤ちゃんに与える良い影響についてまとめさせていただきました。
クーイングを用いるのは約1年ほどしかありませんが、こうしたコミュニケーションが発達に良い影響を与えるのはもちろんのこと、親子の絆を深める大切な時間にもなります。
残念ながら、内閣府子ども・子育て白書によると、親子の平均的接触時間は減っており、子どもと触れあい、ゆっくり会話をするといった時間は減ってしまっています。
子どもと触れ合い・関わる時間を増やしてあげることが、子どものため・親のためになりますが、ご自身のペースで育児を出来る範囲で良いものにしていきましょう。







