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お母さんの心音が赤ちゃんに与える影響について ~安心・眠気・体重増加~

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胎児の脳は妊娠6ヶ月でできあがり、同時に聴覚もできています。

赤ちゃんは、子宮内でお母さんの心音を常に約85dbという大音量で聞いています。

母親の心音が、子どもに対して様々な影響を与えることは、多くの研究で明らかになっています。

今回は、このお母さんの心音が赤ちゃんに与える影響について、まとめさせていただきます。

目次

お母さんの心音は「究極の安心音」

子宮の中にはいろいろな音が聞こえており、総して胎内音と言います。

お母さんの声・血液が流れる音など様々な音がするなか、ひときわ大きいのが母親の心音です。

聴覚を獲得してから誕生まで、絶え間なく聴いていた赤ちゃんにとっては、その音は「究極の安心音」として心に刻まれています。

赤ちゃんを安心させる音として、お母さんの声・ホワイトノイズなどがありますが、それよりも心音が良いとされています。

ストレス回復に及ぼす影響として、ホワイトノイズと比較して心音の方がラックス状態に導く可能性を示唆した研究もあります。【宮城舜・鷲塚愛・田井村明博(2014)音刺激がストレス回復に及ぼす影響―心音とホワイトノイズの比較―.日本生理人類学会誌,19⑵.77-82】

心理的に与える影響

生まれたての赤ちゃんに心音を聞かせると、泣き止んだり・安らかになったり・眠たくなったりします。

これは経験的・間隔的にも分かることだと思いますが、学術的にも認められています。

例えば、心音の脳波に対する影響において心音が生理的な心地良さを増して眠気を誘導するとした実証研究等があります。【中司弘樹・河野靖美・松田沙織・夏目季代子(2015)心音の脳波に対する影響.電子情報通信学会技術研究報告:信学技報,114(437).39-45】

また、母親の心音を聞かせることで、乳幼児の精神を安定させたことを明らかにした研究もあります。【Weiland, H.I.(1964). Heartbeat rhythmand maternal behavior. Journal of the American Academy of Child Psychiatry, 3⑴,161-164.】

身体的に与える影響

心の与える影響だけではなく、身体にも影響を与え、体重増加を促します。

心音を聴かせた乳児の70%は体重増加を示した研究もあります。【Salk, L.(1973)母親と幼児の間の心音の役割(小林登,訳).日経サイエンス,7.34-40(Salk, L.(1973)What Every Child Would Like His Parent to Know, Warner Books.)】

NICUで未熟児にカンガルーケアを実施するのもこのためかもしれません。

カンガルーケアとは、赤ちゃんを裸のまま母親の乳房の間で抱っこするケアのことです。

90分母子分離した群は激しく啼泣した児が多かったのに対して、出生直後からカンガルーケアを行った群は、ほとんど啼泣なく、体温血糖値・分娩時の低酸素からの改善が良好であった報告もあります。

まとめ

お母さんの心音が赤ちゃんに与える良い影響についてまとめさせていただきました。

残念ながら、内閣府子ども・子育て白書によると、親子の平均的接触時間は減っており、子どもと触れあい、ゆっくり会話をするといった時間は減ってしまっています。

子どもと触れ合い・関わる時間を増やしてあげることが、子どものため・親のためになりますが、ご自身のペースで育児を出来る範囲で良いものにしていきましょう。