妊娠中にウィルスや細菌・寄生虫などに母体が感染すると、胎盤・血液を通じて母親から胎児に感染していまい、赤ちゃんが障害を抱えて生まれてくることがあります。
これを胎内感染・先天性感染と呼び、日本で許可の下りた治療薬・ワクチンが存在しません。
胎内感染・先天性感染を引き起こす細菌・寄生虫は以下のものが知られています。
- トキソプラズマ
- サイトメガロウィルス
- リスレリア菌
今回、サイトメガロウィルスについてまとめさせていただきます
目次
サイトメガロウィルスとは?

サイトメガロウイルス(CMV)による感染症は非常によくみられる病気です。
CMVはヘルペスウイルスの一種(ヘルペスウイルス5型)です。
石鹸・アルコール・漂白剤に弱く、効果的に除菌することができます。
先天性サイトメガロウイルス症への感染
先天性サイトメガロウイルス感染症は、子宮内の赤ちゃんにサイトメガロウイルスが感染して発症する感染症です。
お母さんが妊娠中に初めてサイトメガロウイルスに感染した場合、症状が出やすいです。
また、お母さんが以前感染したウイルスが潜伏し、再活性することもあります。
日本では成人女性の70%以上が既に感染して、免疫を獲得しています。
初感染や再活性が起きても、子宮内の赤ちゃんに必ず感染が起こるわけではありません。
子宮内の赤ちゃんへのサイトメガロウイルス感染は、初感染で約40%、再活性ではより低い確率で起こります。
また、赤ちゃんに感染が確認されても、症状が出る可能性は10〜30%です。
先天性サイトメガロウイルス症の症状

ほとんどの症例において母体は免疫能正常で無症状の場合がほとんどです。
一般的に重篤な感染症が発生するのは、胎児のときに感染した乳児・エイズや臓器移植などで免疫機能が低下している人のみです
感染した場合の症状としては以下のものが挙げられます。
- 胎内死亡
- 流産
- 知能障害
- 聴力障害
- 視力障害
- 低出生体重
- 小頭症
サイトメガロウイルスに感染しないように気をつけること

感染経路は、母乳・尿・唾液による水平感染が主経路であり、産道感染・輸血による感染による感染なども認められている。
そのため、先天性サイトメガロウイルス症だけでなく、サイトメガロウイルスの新生児・乳児期感染にも注意が必要です。
サイトメガロウイルスに感染しないようには、以下の対策が必要になります。
- おむつ交換・食事・よだれ・唾液を触った後の手洗い
- 唾液がついたオモチャ等の除菌
- 食べ物・飲み物を共有しない
- 敷物・布団を天日干しする
まとめ
胎内感染症・先天性感染症から先天性サイトメガロウイルス症についてまとめさせていただきました。
母子ともに危険を伴う症状もありますので、しっかり対策を実施して、安全なお産に努めなければなりません。
そのための知識の参考になれば幸いです。







